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寝入りばな、もうすぐ眠りに落ちる……という時に、足が…違和感を感じ始める。
初めは「お布団の肌触りが気になるのかな?」と自分をごまかして、寝返りを打つ。
この時点で「寝入りばな」だった状態はほとんど「目が覚めた」状態になっている。
そして足の違和感はと言うと、寝返りをしたところで変わらない…どころか、何だか足の皮下を虫が這い回っているような感覚がする!!!
こうなるともういよいよ眠れなくなって、足をバタバタと動かすか、起き上がって屈伸をしたりしないことには、もうどうにも堪えきれない…!!
以上の様な状態が、むずむず脚症候群の症状の一部といったところです。
ただ、むずむず脚症候群の症状は個人でかなりの差があるので、こうした症状だけでなく、刃の欠けたカッターナイフで皮膚を削られているような感じがする人もいれば、熱さを感じるような人もいます。
こんな感覚がもし1週間に何度も起こったら、あなたは耐えられますか?
そしてその症状が「むずむず脚症候群」だよ、と言われて、でも治療法はあるようでまだ確立されていないんだよ、と言われたら、あなたはストレスを抱かずにいられますか?
もしあなた自身が、むずむず脚症候群に悩んでいる人であれば、本当によく耐えていますね!と心から労いたいです。
そしてもしあなたが、周囲の人にむずむず脚症候群の人をもつ人であれば、どうか彼ら・彼女らのツラさとストレスを「理解」してもらいたいと思うのです。
私もむずむず脚症候群に悩まされていたので本当に辛い思いをしました。
でもきっと、同じ症状を感じない限り共感してもらうことは決して出来ないと思うのです。
しかし「病気を理解してサポートする」ことは周囲の人でもできます。
もしあなたの友人や家族がむずむず脚症候群に悩んでいたら、話を聞いて、適切な治療やケアをすることをすすめてみてください。
では、むずむず脚症候群を治療したり、ケアするためにどうしたらいいのか、むずむず脚症候群の原因について、今回はこの部分を掘り下げていきます。
見出し
実はまだ未解明?むずむず脚症候群の原因とは?
機械が動かなくなったとき、人は「どうして動かないのか」とか、「なぜ動かなくなったのか」という原因を追求しますよね。
なぜなら「動かなくなった原因」がわかれば、動かなくなった機械も直せる余地が出てくるからです。
メカニックなものを例えとして出しましたが、こうした「思考ルート」はどんな病気の治療でも根本は同じ。
頭が痛いとなったら、どうして痛いのか、なぜ痛くなったのかを考えて、原因を正して治すことをします。
もしあなたが今、頭痛に悩まされているとします。
この場合は原因を考えて、思い当たることがあれば、次はその原因に近づかないようにしたり、もっと工夫して頭痛が起こらないような付き合い方をしたりするはず。
例えば頭痛の原因が昨日の飲み会で飲んだ「普段は飲まないワイン」だったとなると、自分はワインを飲むと体に馴染まなくて頭痛が起こりやすいとわかり、できるだけワインを飲まないように工夫する、と言った具合です。
お酒が原因でなくても、デスクワークで肩凝りが続いているから頭痛が激しいのかな、と思えば、作業の合間にストレッチをしたり、肩凝りが軽減するような椅子を使うようにしたりします。
これをむずむず脚症候群に応用すると、どうして足がムズムズするように感じるのか、何がむずむず脚症候群を引き起こしているのかを考え、追求することで、むずむず脚症候群は軽減・改善・治癒するかもしれませんよね。
原因がわかれば、あなたを日々悩ませている足がむずむず感じることを長期間抑えられたり、もう二度とむずむずを感じることがない日々が迎えられるかもしれないのです。
しかし、本当に残念なことながら、現代の医学ではむずむず脚症候群というのは、はっきり何が原因で起こっているか解明できていないのです。
それでも…「むずむずを感じる原因に挙げられていることは何か」
むずむず脚症候群の根本的かつ万人に共通する原因や解決法はいまだにわかっていないのですが、それでも身体のメカニズムとして「むずむず感じてしまうのは何故か」については少しずつ理由がわかってきています。
ドーパミンが関わっている
人間の脳内で分泌される「ドーパミン」という神経伝達物質があります。
感情的な作用としては、このドーパミンと言うのは「快感」を司っていて、ドーパミンが脳内で放出されることで快感を得ることができます。
具体的に言えば、自分が努力したことについて報酬を得た時、人は「報酬を得たことで脳内にドーパミンが分泌→快感を得る」ということになっているのです。
こうした作用があることで、「努力すればイイことがある」と思って、無意識のうちに「快感を得ようと」頑張っていたりするのです。
一方でドーパミンと言う神経伝達物質は、運動や感覚を制御するための神経の興奮を抑制する働きももっているんですね。
もしドーパミンが不足してしまうと、この「運動や感覚を制御する」働きが十分にできなくなり、運動・感覚の興奮が過剰になってしまうのです。
つまり、ドーパミンが不足していることで、むずむず脚症候群の人は、何でもない刺激にまで過敏に反応し、その結果として足がむずむずしてしまう感覚を感じているのかもしれないのです。
また、むずむず脚症候群とドーパミンの関わりについては、むずむず脚症候群になる人のなかに「鉄欠乏性貧血」によって症状を引き起こしている人がいることからも、推測がなされています。
これは、体内における鉄分がドーパミンを生成するのに必要な物質であるので、鉄が欠乏→ドーパミン不足→むずむずを感じる、というメカニズムがありそうだということが根拠になっています。
現に、日常の栄養補助として鉄分のサプリを利用し始めたら症状が改善してと言う人もいるため、一説として間違っているわけではないことが体験的に証明されつつあるのです。
他の病気との関わりでむずむず脚症候群が発症する場合
むずむず脚症候群は、鉄欠乏性貧血や、貧血まで至らなくても鉄が不足している状態で起こることが多い以外に、周期性四肢運動障害という病気と密接な関わりがあるのではないかと言われています。
また、むずむず脚症候群には突発的に症状が出る「一次性」のものと、他の病気・薬が原因で起こるとされる「二次性」のものがあるというのが一般論です。
- 一次性の症状を引き起こすもの
- 鉄不足・遺伝性のもの(ドーパミンの分泌が不足しやすい体質を引き継いでいる)・ドーパミン神経系の障害など
- 二次性の症状を引き起こすもの
- 慢性腎不全・パーキンソン病・向精神薬の影響など
むずむず脚症候群が起こりやすくなる「原因の病気」とは
先にも挙げたように、むずむず脚症候群の原因となる病気には慢性腎不全やパーキンソン病などがあります。
また、関わりが深い病気として「周期性四肢運動障害」があります。
ここからは、むずむず脚症候群とこれらの病気との関係性についてお話をしていきます。
むずむず脚症候群と周期性四肢運動障害
むずむず脚症候群というのは、別の名前では「下肢静止不能症候群」と言われています。
一方で、ここでご紹介しているのは「周期性四肢運動障害」です。
つまりこの2つの病気は関りは深いとされているのですが、同じ原因からなる病気とは今のところ考えられていないのですね。
周期性四肢運動障害とは
周期性四肢運動障害というのは、主に中高年以上の年齢の人が症状を出すことの多い病気と言われています。
症状としては、寝ている時に体の一部(主に足や手)が本人の意志とは関係なく急に曲げ伸ばしをしたり、足の場合は膝蹴りのような動きをしてしまうようなものです。
本人は寝ていて覚えていませんが、健康な睡眠ができていないので、翌日にはやはり疲労感が残ることになります。
また、この病気では「むずむず脚症候群の人が周期性四肢運動障害を併発している」ことはよくあるのですが、逆に周期性四肢運動障害を初めに発症した人がその後むずむず脚症候群になることはないと言われています。
つまり「むずむず脚症候群を最初に発症+周期性四肢運動障害も併発」はあっても、「周期性四肢運動障害を最初に発症+むずむず脚症候群も併発」はないということなんですね。
この関係性から、この2つの病気のついて、まだ未解明の部分が多くなってしまうということなのです。
むずむず脚症候群と慢性腎不全
慢性腎不全で人工透析の処置を受けている人は、むずむず脚症候群になりやすいという報告があります。
慢性腎不全とは
慢性腎不全と言うのは、急性のものと異なり、ある程度の時間がかかって、腎臓の組織が壊れていってしまうことで、腎機能が通常の30%以下である場合などに慢性腎不全と言われています。
腎臓が機能しなくなると、身体の老廃物がろ過できなくなるので、体内の酸性・アルカリ性濃度のバランスが崩れたり、老廃物が適した状態で排出できなくなるので体はむくみ、放置すると命にかかわります。
このため、慢性腎不全の人は人工透析によって、腎臓の仕事を透析で担う必要がでてくるのです。
こうした体内の塩分バランスなどが極端に崩れてしまうことで、ホルモンの分泌異常に繋がったり、皮膚感覚の異常が出てきたりすることで、むずむず脚を感じるようになるのだと考えられています。
むずむず脚症候群とパーキンソン病
高齢者で罹患している割合の上がる「パーキンソン病」は脳内のドーパミン分泌が弱まってしまうという特徴もあります。
この脳内のドーパミン分泌量が下がってしまうというのは、そのままむずむず脚症候群を引き起こしやすい状態を作ってしまうので、パーキンソン病の患者にはむずむず脚症候群を併発している人が多くいます。
パーキンソン病とは
パーキンソン病は一般的には40〜50代以降に発症すると言われいてる病気で、脳幹に属する中脳の「黒質」と、大脳にある大脳基底核内の「線条体」に異常が起こっていることがわかっています。
黒質に異常が起こってしまうと、正常な神経細胞が減少してしまうため、生成されるドーパミンの量も減ってしまいます。
ドーパミンの生成が減れば、黒質→線条体への神経伝達回路が上手に機能しなくなるので、心身の様々な部分に不都合な状態が起きてくるのです。
パーキンソン病は、黒質で作られるドーパミンの量が正常時の20%以下にまでなると症状が出てくると言われています。
このように、パーキンソン病にも「ドーパミン」が関わっていることからお察しのように、ドーパミンの量が不足することが引き金となって、むずむず脚症候群を併発することになるのですね。
ですから、パーキンソン病の薬を飲むようになってからむずむず脚症候群の症状が軽減するというのはよくあることです。
なぜなら、パーキンソン病の薬と言うのは「ドーパミンの補充療法」に使われる薬であったり、「ドーパミン受容体作動薬」という薬であるからです。
子どものむずむず脚症候群の原因は大人とは違う?
ここまではおおよそ「大人」のむずむず脚症候群の原因についてご紹介してきました。
ただ、実際にはむずむず脚症候群というのは子どもも発症しています。
しかし子どもはつたないボキャブラリーにおいて、その症状や様子をしっかりと伝えられず、「足が痒い」と言って皮膚科を受診することになったりすることも多いんですね。
さらに、夜にしっかり眠れていないので昼間にぼんやりしたり、時間を問わず症状が発生した場合は「動かずにはいられない」ので「落ち着きがない子」に見られたり見当違いの治療をすることになる場合もあるのです。
では、子どものむずむず脚症候群に関しては何が原因で症状が出るのでしょうか?
子どものむずむず脚症候群の原因はほぼ「遺伝」?
子どもがむずむず脚症候群の症状を発症する時、血液検査をして「鉄不足」と言われる場合もあります。
けれども、子どもの場合は鉄分に関しては特に問題がないのにむずむず脚症候群が発症することも珍しくありません。
それでは何が原因になっているのかというと「遺伝」がほとんどということなのです。
むずむず脚症候群の症状が出ている子どもを調べたところ、ナントその子どもの7〜8割は「親も」むずむず脚症候群になったことがあるという報告が出たのです。
こうした結果から、むずむず脚症候群の子どもというのは、体内に鉄分が十分でも、「脳に」十分な鉄分が届きづらい体質を受け継いでいるのではないかと考えられているのです。