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むずむず脚症候群という名前だけ聞くと、まるで「冗談」のような名前ですが、実際にはこの症状はとってもストレスの溜まるしんどい病気です。
脳の病気でも「モヤモヤ病」と言うのがあるのですが、名前が深刻に感じられないから、聞く人にもあまり深刻に受け取ってもらえない病気と言うのが世の中にはあるんですよね。
先ず名前で「深刻に受け取ってもらえない」、次に症状を言ってもわかってもらえないことが多いので「そんなの気のせいじゃないの?」と心無い言葉をぶつけられる。
むずむず脚症候群はただその症状が不快だと言うだけでなく、むずむずした症状があるために生活の質が下がることが患者にとって大変なストレスになる病気です。
むずむず脚症候群は入眠時に症状が出てくること多いため、睡眠障害に陥りやすく、睡眠障害のせいで毎日が欝々としてくることもままあります。
しかしそうした悪循環からのダルさやしんどさも、外見的に病気があるとは見えないために怠けているとしか思われない…など認知度の低さも罹患者のストレスを増幅します。
むずむず脚症候群はこのように、外見からは病気とは気づかれない「わかってもらえない」度は世間的にも高い病気の1つなのです。
ここでは、むずむず脚症候群の全体的な像をつかむことで、今後の対処をどのようにしていけばよいかを考えるきっかけを作りたいと考えています。
あなたの抱える「むずむず脚」のツラさを知っている人、わかっている人は、世界にはたくさんいます。
1人で悩み続けてきたその心に敬意を表しつつ、このサイトがあなたのこれからの毎日を少しでも向上させるお役に立てることを祈っています。
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むずむず脚症候群の概要
むずむず脚症候群は、日本では「下肢静止不能症候群」とも言われる病気です。
「むずむず脚」というだけあって、症状が出れば自分の意志に関係なく、不快な症状が出る部位(主に足)が「むずむず」し、動かずには、動かさずにはいられないような病気です。
「むずむず」と一言で言いますが、その症状の感じ方は千差万別です。
ただ、どうしても何かに例えるとすれば「皮膚の中をムカデや毛虫が這いまわっているような」ゾワゾワとする不快な感覚があるという感じですね。
症状が出るのは主に下肢ですが、人によっては足だけでなく、腰から背中、腕や手など全身に至ることもあるので一概に「下肢に症状が出る」とは言い切れません。
さらに、割合として、症状が出るのが入眠時やリラックス時ではありますが、昼間でも、リラックスをしていない場合でも症状が出ることもあるので、症状については感じ方もいつ症状が出るかということについても一定の規則性は現在も見つかっていません。
日本では世界に最初に睡眠学会が創設されたことと、むずむず脚症候群が睡眠時(入眠時)に症状としてあらわれることが多いこともあって、睡眠とむずむず脚症候群の関係が学会創立当初より論議されてきました。
症状の出る時間帯は多くが夕方〜夜間です。
この時間帯に症状が出ることで、むずむず脚症候群は患者の睡眠の質を下げてしまう要因の1つになっています。
ただ、先ほどもお伝えしていますが、昼間にも症状が現れることがあるので、患者は夜は睡眠の質を下げられ、昼は睡眠不足と症状の出現で生活の質の下げられることもあるのです。
こうした日々を送らざるを得なくなると、患者は精神的に追い詰められることあり、過度のストレスからうつ病を併発したり、突発的に自分の人生を終わらせようとてしまう人もいます。
そして、最初はむずむずとした症状であったのに、回復せず長引くことで、むずむずは疼痛になることもあり、これがまた患者のストレスを過大にしてしまうという場合もあるのです。
具体的な症状とは?
むずむず脚症候群の症状というのは「十人十色」というのが1番的確かもしれませんが、それでも基本的に同じかもしれないという感覚はあるようです。
その共通する感覚を強いて探すとすれば「足の表皮下を虫が這っているような感覚」と言えるでしょう。
むずむず脚ではない人に症状を説明するのは至極難しいのですが、それでも敢えて説明するとすれば、表皮の上を虫が這っているという言い方をすることが多いのです。
ただ、実際には皮膚上というより、皮膚の下に「何か」が這っている、とか毛虫のようなザワザワしたものが皮膚の下をゾリゾリ進んでいる感じと言えるかもしれません。
それが「寝入りばな」にやってくるので、患者のストレスは1度の発症でもイライラと募ります。
しかもこのむずむずは、1度だけで終わるわけではなく、重症化すると寝入りばなのたびにやってきて、患者の入眠を邪魔します。
足(患部)がむずむずを感じ始めれば、患者はどうしてもむずむずの足を「動かさずには」いられなくなります。
それが足であるなら布団の上で足をバタバタ動かしてみたり、眠かったのに少し歩いたりストレッチをしたりしてむずむずを治めようとしてしまいます。
これが1晩に1度などなら、まだ許せるのですが、多い時は「寝入りばな」のたびにゾワゾワとした感覚になるために「寝られないじゃん!!」と本気でイライラと叫びたくなります。
けれども、外見的には熱っぽそうなわけでも、足が痛そうな感じでも、ましてや足が動かないような様子もないので、周囲の人間としては「なぜこの人はこんなにもイライラしているのか」くらいにしか捉えてもらえません。
またこの症状も、例えば半年に1回とか1年に1回くらいの頻度で起こるなら、どうにか過ごしていけますし、久々に症状が出た時も何とかやり過ごすことができます。
けれども重症な人ともなると、むずむずの症状が何日も続いてたり、インターバルを置いて週に何度もあるというのも珍しくありません。
こうなると精神的にまいってくるのは時間の問題になります。
それでも周囲の人間には「あの人がどうしてあんなにもストレスフルなのかよくわからない、わからないうちにあの人は欝々としていってしまった」と思われるのです。
当の患者は、まるで睡眠に対して兵糧攻めをされている感覚で日々を過ごし、少しずつ体力や精神力を奪われていたのに、そのことに気づいてくれる人はほとんどいないのです。
それでも今はまだ、少しずつではありますが、むずむず脚症候群の認知度も上がりつつあり、症状に対する周囲の理解も広がってきてはいます。
同じく悩んでいる国内の患者数はどれくらい?
国内の推定患者数は、人口の3〜4%です。
日本でこの割合を当てはめると390万人〜520万人いほどが推定として罹患していることになります。
単純に都道府県で分ければいつの都道府県に11万人程度がいる計算になります(これは単純に上記の数字を割っただけなので人口比は考慮していません)。
男女比では女性の方が多く、世代としては40歳以上の女性に特に多いとされています。
ちなみに男女比は「男:女=2:3」です。
中年以降の女性に多い病気には他に関節リウマチや膠原病系の病気もあるので、脚むずむず症候群はこうした病気とも何らかのかかわりがあるのではないかと言われています。
認知度の低さがツライ
むずむず脚症候群は、患者のツラさは結構深刻であるのに、認知度が低く周りの人になかなかわかってもらえない状況があるのもツライところです。
夜にむずむずがあって、翌日睡眠不足でしんどくても、「足がむずむずして眠れなくて…」では深刻さが伝わらないんですよね。
もし仮に「私はむずむず脚症候群なので…」と本当のことを伝えても「ふざけてないで…!」という対応をされたりします。
ではかといって下肢静止不能症候群なんです!と訴えても、文字的にあまりにも「作ったような」病気なので、病気について知らない人には「何を言ってるの?」と言われるのがオチです。
こういう「伝わらない」もどかしさが、病気のしんどさに拍車をかけてどんどん患者の気持ちは後ろ向きになっていってしまうのです。
公共の場がツライ
むずむず脚症候群になっていて、日々眠る際にストレスを感じていても、それがまだ自宅であれば、ストレスはあるかもしれませんが足を動かすとかさするとかマッサージするなどして、むずむずの症状やもどかしい時間をやり過ごすことができます。
しかし、映画館とかプラネタリウムなど、静かにしておかなければならない場所、他にも電車の中や飛行機など、身動きをとるのが難しい状況でもこの症状が出てくることもあります。
こうした公共の場所で足を自由に動かすこともできずに我慢していると本当に本当に脂汗が出てくるくらい気持ち悪くなります。
自分で自由に動けない場所や状況で我慢のできないむずむずが出る…このことがストレスになって「次も同じようなことがあったら困る」と外出が億劫になる人もたくさんいます。
辛うじて身内や仲の良い友人との外出であれば、外出先で思わぬ症状が出た時に理解をしてもらうことも可能ですが、他人の中にあってこうした症状が出ることを考えるとしんどい思いしかなく、患者はどんどん内に籠るようになってしまうのです。
他にも、睡眠の質が下がり、生活の質が下がることで仕事を失い、辛うじて社会のセーフティーネットに守られて生きる人もいるのです。
むずむず脚の原因は?症状改善はどうする?
むずむず脚症候群は、今もって明確に原因はわかっていません。
多くの難病がそうであるように、むずむず脚症候群もまた、原因がわからないがためにピンポイントの治療が難しい病気でもあります。
しかし、自力でのケアやサプリメントでの「これが原因と関りがあるのではないか」という部分に間接的にアプローチすることで症状が軽減する場合もあります。
むずむず脚症候群の治療に関しては、病院での診察によりむずむず脚と並行して出ている症状を抑えつつ、むずむず脚も総合的に治すような治療や投薬ができる場合がある一方で、自分自身のケアで症状が改善することもあるというこれもまた珍しい病気でもあります。
直接的な原因は未解明ですが、最近では脳内における神経伝達物質のドーパミンの機能低下、中枢神経における鉄分不足による「代謝異常」、脊髄や末梢神経の異常、さらに遺伝的な要因がむずむず脚症候群の原因に大きく関わりがあると考えられています。
このうち、最も仮説として有力であるのは脳内の鉄分欠乏やドーパミンの合成異常です。
なぜなら脳内に鉄が欠乏してまうと、皮膚が受けた刺激に対して、脳への情報が誤って伝えられることになり、結果として「むずむず」が起こるという仮説です。
このドーパミンの合成異常を考えた時、サプリメントとして鉄分を飲んだところ、症状が改善した人もいるということから、やはり鉄分が症状や病気そのものに関係あるとされているのです。
ただし鉄欠乏性貧血などは、自分で自己判断をすると他の重要な病気の前触れを見過ごすことがあるので、自分1人での独断は避け、医師による正しい診断を仰ぐようにすることが何より大事です。
日常でできるケアとは?
むずむず脚症候群は、病院で医師に診てもらうだけではなく、日常でできるケアを駆使することで症状が改善することも多いとされています。
むずむず脚症候群の患者の間でよく言われるのは「症状が出ている時のスクワット」や症状の有無にかかわらず、お風呂でよく足(自分自身の身体で症状の出やすい部位)を丁寧にマッサージをするのは効果があるという話です。
これが本当にどこまで効果が出るのかは人によるとことが大きいのですが、少なくとも経験的に、足のマッサージは効果があったという人は多くいるのです。
足のマッサージをすると新鮮な血液が運ばれてくるので、普段よりも多くの新鮮な血液が流れることで、不快を感じさせる物質も体内で影響が出にくい場所へお癒すことも可能です。
日常のケアでできることは下記の通りです。
- カフェイン・アルコール・ヘビースモークを避ける
- これらはむずむずの症状の誘因因子になることがあるので極力避けましょう。寝酒に1~2杯と考えていたとしても、その習慣がむずむず脚症候群をひどくしている可能性があります。
- 足のマッサージ
- 就寝前のストレッチやマッサージをすることで、筋肉の強張りを改善し、このこわばりが取れることで入眠時のむずむずが改善されることが多いんですよ。
- 持病の薬を止める
- すぐに生命維持に関わるような病気の場合は別ですが、もし止められる薬があるなら、医師と相談して薬を一時的に止めることも考えましょう。
- 足の小指に気を付ける
- 日常で「立位」のとき、つまり立っている時に足の小指の先が「地面につくように」しておくと入眠時にむずむずが出にくいと言われています。