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全身にむずむず病の症状が現れた

あなたがむずむず脚症候群で悩んでいるのであれば、その症状がどんなに不快なものであるかはきっと身をもって理解されているはず。

現在、日本にはむずむず脚症候群の諸症状に悩む人は380万~470万人(推定で人口の3%~4%)いると言われていますが、この中には足に症状が出現するだけでなく、腰・臀部(お尻)・胸部・背中・腕など、全身にわたって症状が出る人もいます。

足に症状が出るだけでもツライむずむず脚症候群。

全身に症状がある場合には一体どのように対処をすればよいのでしょうか。

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むずむず脚症候群の症状は全身に出てくる?

冒頭で少しお伝えしていますが、むずむず脚症候群の症状に悩む人の中には全身の症状で悩んでいる人もいます。

虫が這うようなあの大変不快な感覚が、足だけでなく体のいたるところに出現するのです。

ただ全身と言っても、本当に全身隅々……というわけではありません。

具体的にどんな部分に症状が出てくるかというと、次の場所に多く症状が出現します。

  • 症状が出始めることが多い部位、足の中でもふくらはぎに症状が出やすく、ふくらはぎ→太ももと症状が広がるケースが多い。

  • 臀部や腰
  • 足の症状が太ももに広がった人は、そのまま対応をしないとお尻や腰の方に症状を感じるようになりやすい。

    症状が出るのは足に症状が見られている時に一緒に感じることが多い。

  • 背中
  • むずむず脚症候群の症状が進行したときに現れやすいのが背中のむずむず感。

    ただここまで症状が進むと、足に症状がない時にも起こることが。

    日中にも症状が出やすいので、イライラやストレスで生活の質を落としやすくなる。

  • むずむず脚症候群の症状が出やすい体の部位としてよく知られるのが実は腕。

    特に二の腕や手のひらなどはむずむずとかピリピリという症状が出やすく、しかも日中に症状が出ることが多いため、ストレスを溜めやすくなってしまう。

    腕に症状が出てきた場合は、早めに病院などで出される処方薬で症状を改善した方が、生活の質の改善につながることが多い。

いかがだったでしょうか。むずむず脚症候群の症状は以上のように全身の体の部位、色々な場所で起こることが確認されています。

稀なケースでは首回りや顔などにも症状が出ることがあるため、こうなると本当に日常生活を穏やかに楽しく過ごせる時間が減ってしまうので、気分の落ち込みをもたらしやすくなってしまいます。

むずむず脚症候群は足が最初というケースだけに限らない

基本的に、ここまでにご紹介した全身におけるむずむず症状が出やすい部位というのは、足に症状があってそれから全身の部位にも症状が出るようになった……という流れの場合が多いです。

しかし体質などによっては、足に症状が最初に出る人ばかりではありません。

最初に腕のむずむず感に悩まされる人、腰や臀部のむずむず感に悩まされる人など実際にはむずむずの最初が足でなかったという人もいます。

そうした人は、自分の症状が実はむずむず脚症候群とは気づかず、受診をするのもちょっと専門とは言い難い科にかかって、治療効果を感じられない日々を過ごすことがあるのです。

むずむず脚症候群かと思って診察を受けても、血液検査や問診で「他の病気(例えばパーキンソン病やリウマチなど)」がわかることもあります。

ただ全身にむずむず感を伴う場合に、専門医の診断を受けなければ、本来のむずむず脚症候群という病気にたどり着けないケースもあるのです。

ですから、全身のむずむず感で不眠がある場合や、イライラやストレスが溜まっている場合は、他の病気を疑って内科や整形外科を受診するのと同時に、睡眠障害専門科や神経内科、精神科を受診して、色々な角度から病気にアプローチしていくようにすることが大事です。

むずむず脚症候群が全身の症状として現れたときはどうやって改善する?

むずむず脚症候群の症状が全身に出ている場合は、自力の改善方法だけではなかなかすっきりと症状を改善させることが難しいこともあります。

まずはしっかりと睡眠をとれる状態を取り戻し、日中に感じるイライラ感などを改善させるために、専門医を受診して、しかるべき処方薬をもらうのがベストです。

ただ、現在使用されているむずむず脚症候群の症状に効果のある薬の中には、長期間使用することで薬の効果が急減する薬もあります。

ですから、むずむず脚症候群の症状に関しては、症状を改善させるための方法の全てを薬に頼るのは厳禁。

薬はあくまで一時的な症状の改善につながるものと考えて、根本的な症状改善は自分自身が生活を改善することで叶えるのがベスト。

例えば、むずむず脚症候群の症状によって、不眠やイライラ・ストレスが大きくなっている時は、薬で症状を抑えることで「一時的に不眠状態を改善」し、イライラの募るのを減少させます。

そうした、症状が出にくくなっている期間で、生活リズムを整え、バランスの良い食事を心がけ、自分自身が根っこから健康になれるように努力することが大事なのです。

むずむず脚症候群には鉄分不足が関わっていると考えられているので、バランスの良い食事を毎日摂ることが難しい人は、サプリメントなどに頼りながら、鉄分不足を解消することも大切なのです。

全身に及んでいるむずむず脚症候群の症状を改善するには、1つ目に薬で症状を一時的に抑えること、2つ目に自分自身の生活習慣の改善で根本的な健康を取り戻すこと、この2つが有効でしょう。

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むずむず脚症候群の全身症状に隠れている他の病気

むずむず脚症候群に関しては、症状が足だけに現れている場合、それはシンプルにむずむず脚症候群となることが多いですね。

しかし、全身にむずむず感やピリピリ感がある際には、それはむずむず脚症候群だけではない、他の病気が隠れていることも多くあります。

特に、最初に足だけにむずむず感を持っていた人がその症状を全身に感じ始めると、「自分の症状が広がった」と思うだけで、むずむず脚症候群以外の病気が潜んでいると考えなくなってしまいやすい傾向が。

これでは隠れていた病気を見逃すことになりやすくなってしまいますよね。

ですから、足が症状の端緒だった人もそうでない人も、体にむずむず感やピリピリ感を持ち、不眠やイライラが募る場合には、他の病気も疑って、いち早く病気を発見できるように心構えておきましょう。

むずむず脚症候群と併発する病気・間違えやすい病気

むずむず脚症候群と間違えやすい病気1:鉄欠乏性貧血

むずむず脚症候群の症状が出る人の多くは、慢性的な鉄分不足に陥っているケースが。

つまり、むずむず脚症候群の罹患者の多くに鉄欠乏があるということです。

こうなると、特に女性は鉄欠乏性貧血を併発していることもあるので、むずむず脚症候群の治療では、同時に鉄の補充をする必要があります。

パーキンソン病

むずむず脚症候群では鉄欠乏によるドーパミン不足で症状が発症していることが多いのですが、ドーパミンに関わる病気にはパーキンソン病があります。

パーキンソン病はドーパミンの生産量が著しく減少することで、些細な刺激に過剰に反応することが出てくる病気です。

これがむずむず感を感じる原因となり、パーキンソン病をむずむず脚症候群と間違えることになるのです。

むずむず脚症候群と間違えやすい病気2:関節リウマチ

関節リウマチは自己免疫疾患の1つで、本来ならば攻撃されることのない自分を細胞を、免疫細胞が攻撃し始めてしまう病気です。

攻撃を受けることで通常の細胞は炎症を起こすのですが、これが神経伝達の部位であると、正常に神経伝達をすることが難しくなり、むずむず感を引き起こすことがあるのです。

むずむず脚症候群と間違えやすい病気3:甲状腺機能低下症

甲状腺機能低下症というのは、体の中の様々な部分においての代謝低下をもたらしてしまう病気です。

この「代謝の低下」には鉄退社も含まれるようになります。

むずむず脚症候群の原因の1つに鉄欠乏があり、甲状腺機能低下症があるがゆえに、むずむず脚症候群の症状が出ることもあるのです。

この場合、むずむず脚症候群と甲状腺機能低下症は病気を間違えるというのではなく、併発しているという状況になります。

むずむず脚症候群と間違えやすい病気4:慢性腎不全

むずむず脚症候群とかかわりの深い病気に「慢性腎不全」があります。

腎不全とむずむず脚症候群は一見するとあまり関係なさそうですが、実際には透析を受けている人の10%~30%という人がむずむず脚症候群を併発していると言われているのです。

透析を受けている人でむずむず脚症候群を感じている人は、透析の際の血液量を上げることで症状が改善される例もありますが、現実では誰にでも効果あるというわけではないので、これからの進展待ちの部分も多いのが現状です。

むずむず脚症候群と間違えやすい病気5:胃を切除した後の下肢静脈血栓

これは胃だけに限らないのですが、内臓の切除などを行った後、しばらくベッドで寝たきりの状態になる際に起こるむずむず脚症候群です。

ベッドに寝たきりになると、下肢静脈血栓になりやすいのですが、これは足の筋肉を使わなくなることで、足の静脈の中の血液が凝固してしまうことが原因なのです。

ではどうして下肢静脈血栓がむずむず脚症候群と関わるのかというと、血液の流れが悪くなる=隅々まで鉄分が届かなくなるためです。

また足だけでなく、血液の流れが悪いということは体全体の血流悪化にもつながるので、全身的なむずむず症状を発症することもあるのです。

むずむず脚症候群と間違えやすい病気6:線維筋痛症の随伴症状

現代医学ではいまだにはっきりとした原因が解明されていない病気の「線維筋痛症」は、全身に痛みを生じる病気です。

些細な刺激も、全ての感覚が痛みに置き換わるといっても過言ではないので、患者にとっては非常にしんどい状況になる病気です。

むずむず脚症候群で全身に症状が出現した人の中には、線維筋痛症に罹患している、もしくはむずむず脚症候群から線維筋痛症へと移行してしまったという人が一定数います。

ただ、症状が出始めるとむずむず脚症候群の症状より、線維筋痛症の症状の方が圧倒的に症状が重いので、併発する頃には足のむずむずについてなど考えられないくらいの状況になっていることも多くあります。

むずむず脚症候群と間違えやすい病気7:結核、肝炎、肺炎などの感染症

明確な原因は特定しづらいのですが、結核や肝炎、肺炎などの感染症が端緒となって、むずむず脚症候群の症状を引き起こす人も一定数います。

メカニズムはまだ明確ではないのですが、感染症によって感じたストレスや栄養バランスの偏りが関わっている場合は、そうしたストレス・栄養バランスを整えることで症状が改善に向かうことも多いようです。

むずむず脚症候群と間違えやすい病気8:心不全

虚血性心疾患や心臓弁膜症などの心臓トラブルや心臓の障害を抱えている人は、当然、心臓の働きが弱くなることが多くあります。

こうした状況になると、心臓の働きの主要部分である血液を送り出す機能が低下するので、血流が悪くなり、むずむず脚症候群の症状を発現させてしまうことが多くなります。

むずむず脚症候群と間違えやすい病気9:慢性呼吸不全

生来の呼吸器官の機能低下で酸素供給が不安定である場合は、何らかの病気で呼吸不全が起こってしまった場合、呼吸という生体機能の低下が原因で鉄分不足やドーパミン不足になることがあります。

こうしたこと=鉄分不足・ドーパミン不足が慢性化してくると、むずむず脚症候群の症状を引き起こしやすくなります。

むずむず脚症候群と間違えやすい症状10:妊娠

もともと女性に多いむずむず脚症候群ですが、妊娠中になると、妊婦さんの約20%がむずむず脚症候群を発症すると言われています。

20%というと5人に1人の割合なので、かなりの高確率。

原因は妊娠中に栄養分を退治に送ることで生じるママ側の鉄分不足。

妊娠中は出産時に備えて鉄剤を処方されることもありますが、鉄剤は人によって副作用が強く出る場合もあるので、注意して使用することが大事です。

むずむず脚症候群と間違えやすい症状11:抗精神病薬服薬によるもの

むずむず脚症候群を患うと、生活の質の低下や睡眠事情の悪化から、精神的な不安定を引き起こし、うつ病などになる人もいます。

逆に、うつ病などの人が強いストレスなのでのためにむずむず脚症候群を罹患することも。

うつ病など精神疾患では、ドーパミン抑制のための薬を処方されることはよくありますが、こうした精神的なお薬のために、ドーパミン不足になり、むずむず脚症候群を発現させる人もいます。

むずむず脚症候群と間違えやすい病気12:様々な理由が合わさってむずむず脚症候群が出てくるケース

以上にご紹介してきたような色々な病気や症状の促進をさせるようなホルモンバランスの変化、鉄分不足の深刻化、睡眠不足、血流悪化などが重なると、症状としては出てきていなったむずむず脚症候群の症状が一気に表面化することも少なくありません。

このような場合を二次要因と言いますが、鉄分不足などの二次要因が考えられるときは、むずむず脚症候群そのものの完治を目指すよりも、鉄分不足の改善や栄養バランスの改善を試みて、二次要因をまず取り除くようにすると効果的です。