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睡眠障害を起こす原因として少しずつ世間の認知度も上がってきた「むずむず脚症候群」ですが、どちらかというとこの病気で悩んでいるのは大人の印象です。
しかし実際には育児掲示板などの悩み相談コーナーを見ていても、7歳前後の子がむずむず脚症候群だと診断されたという声も挙がっていたりします。
大人の場合は加齢や鉄分不足が症状の引き金になることの多いむずむず脚症候群ですが、子どもの場合は大人と事情がやや異なります。
今回は子どものむずむず脚症候群についてご紹介します。
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子どものむずむず脚症候群の原因とは?
子どものむずむず脚症候群については、その原因の多くに「遺伝要素」が関わっていると言われています。
子どもでむずむず脚症候群に悩む子の血液検査をすると、体内の鉄分量は十分なのに、実際には本当にむずむず脚症候群に悩んで睡眠障害を起こしているということがよくあるそうです。
現在この場合に起きていることの有力説は「体全体としては鉄分量はOKだけれども、何らかの原因で鉄分が脳にまで運ばれにくくなっている」という説です。
この説は現段階ではまだ仮説の域であり、鉄分がどうして脳に正常に届いていないのかという原因はまだ不明です。
ただし、ここに何らかの遺伝的要素が絡んでいるのではというのが現状で強い意見で、実際に調べてみると、子どもがむずむず脚症候群に罹っている場合、その両親のいずれかがむずむず脚症候群を発症しているとうことが実に70%~80%に及ぶという結果が出ているのです。
ではどの遺伝子がむずむず脚症候群を発症させているのかということは今も研究中ですが、子どものむずむず脚症候群については、この遺伝子研究が実れば一気に改善する可能性もあるのです。
子どものむずむず脚症候群診断の「ツライ」ところ
むずむず脚症候群の症状については千差万別な部分が大きく、はっきりとした言葉で表すには難しい症状であるために、大人でも的確に医師に症状を伝えられる限りではありません。
ですから、子どもの場合はなおのこと、自身の症状を医師にも親にも正確に伝えられないことが多いのです。
的確な症状が伝えられないというのは、むずむず脚症候群に限らず、病気の判断にはマイナスになります。
ですから、子どものむずむず脚症候群について、症状がうまく大人に伝えられないということから「間違った病気」の診断をされることも少なくありません。
もしあなたのお子さんが不眠症状で悩んでいて、体の不快感を訴えているときは、次のような症状があるかどうか質問をしてあげると医師の診断にも役立つでしょう。
むずむず脚症候群の疑いがある子どもへの質問
- 足の中が熱い感じがする(ほてりがあるかを質問します)
- 足の中がむずむずしたり痒い感じがする(蟻走感や不快感を聞きます)
- チクリというような痛みがある(むずむず脚症候群に悩む人の多くは軽く針で刺すようなチクチク感を感じる人が多いようです)
子どものは上記のような説明を自分の言葉だけで行うことが難しいため、ひとくくりに「足が痒い」で済ませてしまうこともあります。
こうした部分を親の言葉で補えるように、症状について細やかな質問ができると良いですね。
むずむず脚症候群?ADHD?どっちか判断がつかない…!
子どもは足のむずむず感が強くなったり、日々の不眠が募ってイライラしてくるとどうしても「じっとしていられない」状態になります。
このように子どもが落ち着きをなくしてきたり、集中力がなくなってきたりすると、病院に連れて行っても「発達障害系」の病気ではないかと言われることがあります。
実際に発達障害が見つかることもあるでしょうが、むずむず脚症候群のために落ち着きをなくている子どもにおいては、一体どういった原因で子どものがじっとしていられないのかを詳しくかつちょっと長い目で観察をしておく必要があります。
3歳前後の自治体の検診で発達診断をしてくれるところもあるので、心配がある場合はそうした発達系の相談をして、専門家と子どもの様子を見ていく必要もでてくるかもしれません。
そうした専門家とのやり取りの中で、むずむず脚症候群が影響しているかもしれないことについて相談できれば、適切な医療機関を紹介してもらえることもあります。
子どもはたっぷりと睡眠がとれれば色々な不調が改善することも多いので、子どもが睡眠に関して悩んだり何か不具合があることを訴えている時は、できるだけ丁寧に話を聞いてあげるようにしてください。
子どものむずむず脚症候群ではどの診療科に行くか
大人のむずむず脚症候群に関してベストな診療科は「睡眠障害専門医」のいるクリニックや、睡眠障害専門科という診療科がある病院です。
では子どものむずむず脚症候群に関しては一体何科にかかるのがベストなのでしょうか?
実際には子どもでも10歳前後であれば、睡眠障害専門科を受診するのがベストです。
子どももある程度自分のことを医師に伝えられる年齢なので、専門医に診せた方が適切な診察・治療を受けられることが多いでしょう。
ただ、まだ自分のことをしっかり説明できない年齢の子どもであるなら小児心療内科や小児精神科、小児精神神経科を受診するとむずむず脚症候群について知識のある医師がいるはずです。
できれば睡眠を専門的に扱える医師がいたり、そうした診療を行えることをHPなどで掲示してあるクリニックに行く方が話が早く進むでしょう。
一方で整形外科や皮膚科、内科を受診してもむずむず脚症候群とは結びつけて考えてもらえない場合が多いので、こうした診療科への受診は控えた方がよいでしょう。
子どものむずむず脚症候群の治療
子どものむずむず脚症候群の治療には、鉄分の補給を行うことは大人ほど多くないかもしれません。
というのも、子どもがむずむず脚症候群を訴える場合は、体内の鉄分が十分なこともよくあるからです。
ではどういった方法が子どもの不快感を手早く取り除いてくれるかというと、そこはやはり処方薬ですね。
ただ子どもの関しては投薬の量やタイミングをしっかりと管理する必要があるので、大人も一緒にしっかりと子どもに寄り添う必要があります。
子どもに用いられる薬はドーパミン受容体作動薬が一般的ですが、このドーパミン受容体作動薬は、薬の量を増やすタイミングや用いる回数をしっかり管理しないと、使い続けるうちに効果が薄くなることもあるのです。
処方薬であっても、子どもにむずむず脚症候群の症状改善のための薬を使う時は、一時的に症状を改善するために使うと決めて、長期間の投与にならないようにすることが大切です。