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むずむず脚症候群は主に夕方~就寝時にかけて症状が出ることが多いので、安眠が妨げられることもしばしばです。
きちんとした睡眠をとることができなければ、日々のイライラは増大しますし、ストレスへの耐性も下がってしまいます。
ではむずむず脚症候群による不眠症を改善するには一体どのようにすれば良いのでしょうか?
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むずむず脚症候群からの不眠症はどうして起きる?
冒頭でもお伝えしていますが、むずむず脚症候群の症状は、たとえ足に発現する症状でなくても、夕方~就寝時にかけて症状が出ることが多いのですね。
これはむずむず脚症候群の原因となる鉄分が関わっています。
むずむず脚症候群の症状が出るには、鉄分不足によるドーパミンの生産不足や、フェリチンの不足が挙げられるのですが、ちょうど夕方から夜にかけての時間帯というのは、人間の体内の鉄分が少なくなる時間帯なのです。
ですから、こうした鉄分の量なども相まって、夕方~就寝時にかけて、むずむず脚症候群の症状が出やすくなると言われています。
一方で、むずむず脚症候群の症状が進行すると、朝夕問わず体を静かに落ち着けた時に症状が出るようにもなります。
こういった状態になると、夜間の睡眠不足を昼間に補うこともできず、1日中しんどい状態が続くようになります。
そして、不眠が続くというのは、そのまま生活の質を落とすことになったり、イライラや抑うつで精神状態を悪化させることにも繋がるので、放置しておけば自然と改善するということはほとんどありません。
むずむず脚症候群と不眠
先にお伝えしたように、むずむず脚症候群は体内における鉄分の関係で夕方~夜にかけて発症することが多いのですが、これはそのまま「気持ちの良い睡眠」を妨げることになります。
寝入り端だけに症状が現れるのであれば、寝入り端の症状をマッサージなどで抑えればよいのですが、実際にはむずむずという症状や足のほてり感、チクチクした刺激などは明け方くらいまで続くことがあるんですね。
こうなると一晩中むずむず脚症候群の嫌な感覚に悩まされることになり、十分な睡眠をとることなどは難しくなります。
さらに、むずむず脚症候群の症状は一旦出始めるとしばらく続くことが多いので、日々の症状で「毎日」睡眠時間が不足するようになり、イライラや疲労が募るようになります。
精神状態が不安定になると、たとえ1日むずむず感が出なかった日があっても「またいつ症状が出てくるかわからない」という不安感から、精神的な不安定さが要因で不眠状態に陥るようになってしまうのです。
まるで何かの拷問のようにじわじわと不眠症状をひどくさせていくむずむず脚症候群。
この状態を放置しておくと、本人が思っている以上に体はしんどさを募らせていくことになり、最終的にはただの疲れ足と言って放置していた自分をひどく後悔することにもなりかねない状況に陥ってしまいます。
むずむず脚症候群には、その症状を緩和させるための薬がいくつかあるのですが、むずむず脚症候群の症状と一緒に不眠の症状を和らげてくれる薬もあるので、むずむず+不眠という状態に悩まされている人は、そうした薬についての処方を医師に相談してもよいですね。
むずむず脚症候群による不眠症を放置するとどうなる?
むずむず脚症候群の症状が引き金となって始まった睡眠障害を、ただの疲れ足だからすぐに良くなる……と放置しておくと、不眠からくるストレスやイライラで生活の質が落ちていきます。
まず、睡眠不足の状態が続くと人間の体は免疫力が下がります。
免疫力が下がるとちょっとしたことで風邪を引きやすくなったり、体調を崩しやすくなります。
それでもまだ不眠が続いていると、体の不調と不眠状態での精神不安定が重なって、抑うつ状態になる人も多くいます。
また、睡眠に障害があると正常な判断もしづらくなり、イライラも増えるので人間関係がうまくいかなくなってきたり、人に会うのがつらくなってきたりもし始めます。
抑うつ状態はいよいよ「うつ病」へと進み、投薬なしでは日々を過ごすことができないという状況まで追い込まれる人も少なくないのです。
ただ、うつ病になって抗精神病薬の服薬をすると、その副作用でむずむず脚症候群の症状が強くなることもあるので、むずむず脚症候群の症状→不眠→抑うつ状態→服薬→副作用によるむずむず感の促進→さらなる不眠……と本当に抜け出せないような悪循環に陥ることになってしまうケースもあります。
むずむず脚症候群の症状は、初期段階の本当に初期、という時期にはちょっとした疲れ足かな?くらいの症状で治まったりするのですが、実際にはこの時期にしっかりと症状に向き合っておいた方がこの先の改善には良いのです。
何でも病気というのは異常を感じ始めた時を大切に、そうした初期症状の頃の違和感を大切に、真摯に治療に取り組むことで症状の寛解や完治に近づけるようになるのです。
むずむず脚症候群と不眠症を改善する対策方法
むずむず脚症候群が引き金になって不眠になってしまった人は、不眠の治療を先にすべきか、それともむずむず脚症候群について治療を先にすべきか悩んでしまいますよね。
結論から言うと、この2つに関しては同時に改善をすることが難しいレベルであるなら「より自分がストレスを感じている方」を先に治療するのがベストです。
不眠の方がツライ人は不眠を、むずむず感の方がツライというのであれば、むずむず感を先に治療するのが大事。
ただ、方向性を考えるとむずむず脚症候群の症状を先に治めた方が、不眠のレベルは改善しやすいかもしれませんね。
では不眠とむずむず脚症候群のいずれにも効果があるような対策方法というとどんなものがあるのでしょうか?
不眠症もむずむず脚症候群も同時に改善できる薬がある?
ここまでにも少しだけお話が出たのですが、むずむず脚症候群には現在3つの種類の薬が使用されていて、そのうちの1つは不眠も同時に改善してくれるような薬になっています。
その薬がどんなものかというと、抗てんかん薬のガバペンチン(商品名:レグナイト)という薬になります。
むずむず脚症候群の症状に対する使用の歴史はまだ長いわけではありませんが、日本とアメリカでの臨床実験では、むずむず脚症候群の症状について高い有効性が確認されている信頼のある薬です。
ガバペンチンは、使用を多少継続しても症状促進をしたり、反跳減少が著しくないという長所があり、ドーパミン受容体作動薬を使ってみて体に合わなかった人が次に試してみるお薬という感じですね。
また今回話題になっている不眠に対しても効果があるので、ドーパミン受容体作動薬で不眠が改善できなかった人は1度使ってみると世界が変わるかもしれません。
他にむずむず脚症候群と不眠の症状改善で使える薬というと、ガバペンチンと同様の抗てんかん薬であるクロナゼパム(商品名:リボトリール、ランドセン)ですね。
クロナゼパムには、神経系の活動を鎮静化する作用があるので、むずむず脚症候群によって足のむずむずや精神的なイライラを和らげるためには効果的です。
ただどちらかというと、こうしたむずむず脚症候群の症状を抑えることに特化というよりは、むずむず脚症候群の症状によって起こった「不眠を改善」する方が性質には合っている効果と言えるかもしれません。
ですから処方もむずむず脚症候群の症状だけでは処方されず、むずむず脚症候群のせいで不眠に陥っている場合に処方されるのが普通です。
以上のように、むずむず脚症候群で不眠に陥っている場合は日常でできる改善策以外に、薬で症状を緩和させながら治療をしていくという方法も普通に選択されます。
むずむず脚症候群で薬を使うなんて……と思う人がいるかしれませんが、症状が出ている本人にとっては発狂してしまうか、健康を取り戻すかというギリギリのラインにいるわけです。
できたら早めに症状でも不眠でもいずれでも良いので、できる方から改善をして、快適な毎日が過ごせるように動いた方がよいですよね。